超きまぐれに更新してます。
さて、風丸をもぐもぐしようか。
俺のことを眩しそうにみるロイに、俺は思わず唇を噛み締めた。
「卒業、おめでとうございます、綾浪先輩」
ああ、ロイはまた俺を置いていく。俺も知らず知らずにロイを置いていってしまった。それだけ、ただそれだけなのに涙が出た。きっと、それが無性に腹立たしくて悲しかったんだと思う。
「お前のそういうところが、きらいだ」
どうしてこんな言い方しかさせてくれないのか。古書の香りや、静けさがその理由を知るわけもなく。カツリと靴を鳴らせば静寂がやっとセピア色に色づいた。
乾いた頬につたう涙が誰のものなのか、俺はしらない。知る由もないのだ。
痛みだけ、心臓に食い込んだ。
数ヶ月たったころ、フランスの国立図書館でチラホラ彼の名前を見るようになった。有名な著書のなかに埋まる彼の本の名前や、増える閲覧者を見ると自然と綻ぶ自分がいてなんだか不安になった。
その感情がなになのか、気づいて、認めてしまえばきっとそれがどれだけの支障をきたすかと考えれば考えるほど腹の底から不安になった。
何時から、そう考えれば結構な昔からだと思う。きっと心身ともに疲れていたときに、ロイという水が体に馴染み始めた頃からわかりはじめていたのかもしれない。
彼の愛は優しく、そして重い。
だからこそ冷たい俺の体に馴染んだのしれない。だが、ぬるま湯に浸りすぎた俺達を壊したのは、時間や、そんな出過ぎた感情なのかもしれない。だから、俺は昔、叔父にいわれた言葉で自制をしていたのだ。
三年たった頃にレオパルド先生から連絡が入った。ホグワーツの司書の席が空いたからこないか、という簡略な文書だった。懐かしい筆跡から連想される先生の顔に思わず頬を綻ばせ、思わず筆を進めた。
なにせ答えはイエスだった。
ここ数年で世界の著書を読み漁りすぎて、辟易していたところだったからだ。それに、マグルの世界はほとほとつまらなくなって、飽きてしまったからだった。
ちょうどいい。そう思ってベッドの下に置いている黒いカバンを手元に寄せた。
無事に就職試験も終わり、合格通知も手元に届いた。フランスの見送るような温い風に苦笑しながらもさよなら、と呟くと俺は息を吐き出した。
「さあ、甘美なる知識の場。ホグワーツにもどろうか」
そう言って風と共に消えていく。
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冬四朗@冬雪
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女性
趣味:
昼寝と勝手に叫ぶこと
自己紹介:
関西在住のニートになりたいダメ人間。最近はイナイレとRKRN、オリジナルにお熱。イナイレはもう皆嫁においで状態。RKRNは成長は組やばくて死にそう。とりあえず、みんなお嫁においで。ボカロとかもすきです。ハチさん大好きすぎて死にそう。だいたいは音楽でできています。自由気ままにバンドとかしてます。ただし、音信不通が普通です。めんどくさがりなんです。だいたい気が向いたらメールとかも返します。めんどくさいんです。
対人スキルが皆無に等しいかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。ついった→http://twitter.com/toipetto
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