深海から覗く空の色はきらい。
マジョリカブルーのきれいな青は好き。

ボルドーの深い色がすき
ルビーの真紅がきらい

要はあの人が兄さんを縛り付けているものがきらい。嫌い。キライ。

でも、兄さんが好きになったのは、深海から覗く空のような瞳をした彼でした。
怖かった、怖かった。兄さんがまた壊れちゃうかと思うと心臓が痛かった。



「やあ、ラインハート！」
「ノワール、先輩？」




僕が出来るのはほんの少しの一押しだけなのかもしれない。

風みたいに軽い兄さんを留める、憎い、色を。


「おや、また新しいお菓子をもってそうな匂いだねぇ！」
「ちょ、先輩、」
「ふふ、ほらほら。」





「蝋花」





少しでいい、彼が兄さんを生かしてくれるなら。


「む、くそう兄さんが来たから僕はミル先輩のとこに行くよう。」
「そうしておくれ。お前はいつかレイをかじってしまいそうで心配でたまらないよ。」




(嫌いな色を少しだけ好きになる努力をするよ)